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春のバス通り

バス通り

ふと 手元を見れば
視界がぼやけた

今まで
こんなことはなかったのに

目の焦点が合わない
根をつめて何か書いたり
集中して文字を読んだりしたあと
一息つこうと顔を上げれば
世界がぼやける

今までなかったシチュエーションに
戸惑いながら眼科の門をくぐる

簡単な問診のあと
看護師さんが柔らかな笑顔で
 今までこういうことはありました?
と聞く
 ここ最近集中したあとに視界がぼやけます
と答えると
 ん~……そうですかぁ
そう言ってちょっと考えた後
そのまましばらくお待ちくださいと
看護師さんが立ち去った

どうしちゃったのかな
疲れ目かしら
そんなことを考えていると
名前を呼ばれて検査室に案内され
操縦席のような椅子に座るよう促された

うす暗い部屋の中
顕微鏡のようなスコープを覗き
焦点が合ったり外れたりする
小さな絵を覗き見たり
覗いていると
空気がプシュッと噴出する機械で
圧を測ったり
瞳孔が開く目薬をさされたり
一通りして
待合室で待つように言われる

もしかして
なにか大きな病気なのかしら

普段したことない検査の数々に
少し不安になりながら待合室で座っていたら
ほどなく名前を呼ばれ
診察室に入る

暗い診察室
またも顕微鏡のような機械を覗き込むと
強い光を当てられ
ふむふむと頷くように
眼科医に目を覗き込まれる
開いた瞳孔が光をいっぱいに受け
目がちかちかするどころか
視界が白飛びして
眩しいというより
目の奥がつんつんするような
錯覚さえ起こす

室内の蛍光灯が点き
眼科医がスクリーンに映ったカルテを見ながら
うーん と言葉をためて
そのあと一言

 そうですね
 老の入り口に入ったというとこですかね

と告げた

あぁ そうなんだ
自分もそういう年齢になったのか
あまりにもずっと走り続けていて
そんなことさえ気づかないままに
日々過ごしていたのか

あまりにも自分のことを
ケアもフォローもせず
ぞんざいに置き去りにしていたなと
反省しながら
ほんのちょっと起きた
目に見える異変に
案外いろいろ考えるもんだと
自分の意外なもろさに
ほんの少し自嘲しながら
支払いを済ませて
病院を後にする

 めんどくさいけど
 鏡買わなきゃだなぁ

いつもだったら
雲のない空を見上げ
気分良く伸びの一つもするのだけれど

点眼薬のせいで
いつもと違う白く眩しい世界
ほんの少し恨めしく
今日だけはうつむいて
早足で家路を急ぎながら
そんなことを考えた

黄砂舞う日向の
春のバス通り

201204


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テーマ : ある日の風景や景色
ジャンル : 写真

せつなさの名前

せつなさの名前

水のように
ひんやりとした
気に
もがくように手を伸ばし
すがり付こうとしていた

あぁ また夢を見ていた

もう 温度も忘れた
遠い腕

私の中
」の存在が
ずっと不在のままなので
一番身近にあるものに
」という名をつけた

おかげで私の日々には
いつも「」がそばにいる

食事の支度のふとした時間
何かを書いているとき
洗濯物を干すときに
ふわり
香るにおい

少し肌寒くなった
夜明けの風の中
夕暮れの部屋の中
もう震えることのない
マナーモードの携帯を開く時
書きかけたメールに
「削除しますか」の
ボタンを押したとき

なんでこんな遊びを思いついたのか
「淋しさ」や「せつなさ」を
」に呼びかえるなんて

おかげでいつだって
」はこんなにそばにいるのに
こんなに淋しくせつなく
満たされないなんて

本当につまらない
大人の一人遊び

201109


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CLAWL (クロール)

<CRAWL>

夜明け前
開け放した窓から流れ込む
水を極限まで抱え込んだ
冷えた空気でつくった
誰もいない
自分の心のプール

揃えた両足の爪先から
静かに滑り込む

水から上げた手の指先から
伝った雫が落ちる音が
ぴち と響く
空虚で肌寒い
静かで広い
薄暗さが残る心のプール

誰とも競いたくないから
勝つための泳ぎ方はしない
力強さもスピードもない
自分を水に放ち
委ねるために泳ぐ

できるだけ遠くに手を伸ばして
肩を入れて
水の流れに合わせて
体をしならせながら
抵抗を極限まで減らして
水をすり抜ける

音もたてずゆっくりと
切り裂いてゆく水面(みなも)に出来た
大きな亀裂のような傷を
もうこれ以上裂ける事なかれと
いなして撫でるように
スロー再生
静かに泳ぐクロール

飛沫も踊ることなく
ゼリーのように波打ち
揺れる水面(みなも)

誰もいない追憶のプール
無声映画のように
ただ 音もなく
粛々と

以前なら

泳ぐ私の上に下に
冷たい水ではなく
熱い肌の君がいたのか
それさえも忘れてしまうほどに

私は
冷たく静かな
水に棲むことに慣れてしまった

秋の
開けた窓から流れ込む空気に
前髪を湿らせながら

街が動き出すまで
私はひとり
冷たい水の中で
泳ぎ続ける


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テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

プロフィール

藍音ななを

Author:藍音ななを
詩作の長いブランクを経て2006/9から書き続けています。
空と雨を何よりも愛しています。

血液の82%はコーヒーでできています。
きっと できています。

写真撮影は注釈がないものについてはすべて
撮影者:藍音ななを
撮影機:au Win W41K(携帯by京セラ)
2008/2からau Win W61CA・softbank 940SH
を通して私の目が見た世界です。

著作権は放棄していません。
無断転載/無断引用/複製は固く禁じます。

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綴った詩がお気に召しましたらお気軽にリンクをお持ち帰りください。その際お知らせくだされば相互リンクも貼らせていただきます。コメントもお気軽にどうぞ。

*アダルトとスパムサイト様はご遠慮させていただきます。


ネット詩誌 MYDEAR所属
福岡県詩人会所属

2013.6.9 藍音ななを
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