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SCENE

SCENE

家路を急ぐ人波の中
懐かしい感じがして
胸の鼓動が早まり
小さく息をのんだ

懐かしい
とても懐かしい香りに
心を引っかかれ
懐かしさと苦しさに
息をのんだ

きっと誰も気付かない
かすかな香りは
記憶の糸を一瞬で手繰り寄せ
愛しいものを思い出させる

自分のものではない
生活感のない小さな部屋で
寝息を立てる君の
控えめなコロンの香り

もう忘れてしまおうと
記憶に鍵をかけたのに
私の安普請な記憶の鍵は
いとも簡単に緩んでしまい
無理やり押さえて詰め込んだ
君の記憶がはみ出してきてしまう

遠くにいるはずの君が
こんなところにいるはずもないのに
見えない君の形をした
空気に身をかわすように


 すれ違う


 立ち止まる


 振り返る


横目で一瞬だけ
君を探してみたけれど
やはり君の姿はそこにあるはずもなく
私はもとの進行方向の
人波に戻って
また流されていく

まるで映画の撮影で
カットの声が入って
そのシーンを撮り直すように
最初から何もなかったような顔で
一人で元の道を歩く

けれど夕暮れせまる初夏の
雑踏の中
昔の映画のCMのように
寝息を立てる君の顔ばかりが
心のスクリーンに
何度も何度も
繰り返し映し出された

何度も何度も
映し出された


201306


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テーマ : ある日の風景や景色
ジャンル : 写真

ピーチメルバ

ピーチメルバ
初めての綿雪の街でとの連作です)

歩きながら私は
ほんのさっき一緒に食事した店の
メニューの後ろのほうにあった
ふんわりと柔らかい
桃のデザートを思い出していた

半分に切られた桃は
つるりと滑らかに光り
バニラの風味で大事に煮られ
カスタードソースの中に
真っ赤な木苺とともに
静かに佇んでいた

スプーンですくえるほどに
やわらかく煮えた桃を
口に運んで
舌でそっと押してつぶすと
甘く柔らかい幸せな味が
体全身に染みとおりながら
喉を滑り落ちる

甘く柔らかく
頬の内側がきゅっとへこむ
甘酸っぱい風味

見た感じは
お世辞にも特別ではなくて
あまりにも普通で
地味でありふれているけれど
手にとって
口にしてみなければ
そのおいしさは誰にもわからない

幸せなんてものも
これと似ているのかも知れない

すれ違う見知らぬたくさんの人
一人として同じ人がいないのと同じで
みんな違う想いの形があって
人にはそれぞれ見えない幸せがある

人の数と同じだけ
違った形の
幸せの数がある

それは一皿の料理と似ていて
素材や手法は似ていても
出来上がるものは同じものではない
幸せ」も言葉自体似てはいても
それぞれすべて違うのだ

甘かったり にがかったり
すっぱかったり スパイシーだったり

いろんな味がある
楽しさやせつなさ
その味を楽しめる者だけが
幸せを味わえるのだろう

初めて訪れた街
君以外誰も知る人がいない
綿雪が降るにぎやかな雑踏の中

ピーチメルバの香りがかすかに残る
あたたかい君の
腕の中にいる幸せ

201202

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初めての綿雪の街で

初めての綿雪の街で

君の頭越しに
綿毛のような雪が降る
初めて歩く賑やかな街の
夕方の雑踏

すれ違う人は
みな身をすくめて
早足で歩くと言うのに
雪に慣れた君は
当たり前のように堂々と歩く

人波に押され
繋いだ手が離れそうになったとき
慣れない雪に足元をすくわれ
思わず声を出しそうになった
私の背中に腕を回して
君は強く私を抱き寄せる

 九州の子だもんな
 雪道なんか歩かないっての
 見ててありありとわかるっしょ
 危なっかしくて見てられねぇ
 しょうがないな
 つかまって歩きな 

道をあるくのも一人
出かけるのも一人
飛行機も 新幹線も
いつだって一人

誰かにしがみつかなければ
歩けないなんて
私にはわからない

そう思った私が
初めて君の腕につかまって
君と歩く

まるで
柔らかい毛布を
きゅっと集めて抱きしめ
果てしなくやわらかな柔毛に
もふもふと頬をうずめるような
くすぐったい感触の
幸せな気持ちに包まれながら
綿毛の雪降る街を
君と歩く

201202

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Glowfly(ほたる)

Glowfly(ほたる)

ほの暗い夕暮れ
目を閉じて
私は君を呼ぶ

清(さや)かな
川の命棲む流れ

どこか甘い
水の匂い
さらら さらら

返事が聞こえて
目を開けて
君に目を遣る

モスグリーンのポロシャツ
はかない黄緑の
小さな灯りが点る
君の右肩

はね
 呼吸の速さで恋をするんだよ
 人と同じなんだ
 光っている時間の間に
 愛してるとつぶやいて
 光っていない間は
 息を止めて答えを待つんだ

 だからよく見てみて
 最初はお互い探りあいながら
 タイミングもずれているけれど
 運命の出会いだと気づいたら
 光のタイミングがシンクロして
 速さを増してひとつになるんだ

 食物が摂れない数日の間に
 次の命への糸をつなぐ
 短いからこそ
 光を放ってきれいなのかもしれないね」

昔誰かに聞いた
そんな話を思い出す

もし
私が昆虫なら

君の肩口に止まって
命が短くてもかまわないからと
君を抱きしめて
熱を帯びた
静かなため息をつく
命を燃やす
ちいさな虫

君がいなければ
恋に焦がれて
光ることもない

短い夏の
鳴き声さえ立てぬ
ほたる

2010.6


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昔物語<指の記憶>

昔物語<指の記憶>

幾度となく
同じ順をたどった
あの人の声に通じる数字

寒い冬
かじかむ指で
回したダイヤル

今の若い子は
知らないよね
丸いダイヤルがついた
赤い電話

テレホンカードなんて
しゃれたものはなくて
たくさんの数の十円玉を
ブザーが鳴るたびに落とす
距離が遠ければ遠いほど
十円玉の滞空時間が短くて

「好きだから」
「会いたいよ」
言うにいえなくて
無言の時間ばかり
硬貨の厚み分だけ過ぎた

最後のほうには
馬鹿みたいにあった
十円玉も底をついて
どうにももどかしくて
百円玉を落とした
憎らしい投入口

最近は
みんな高性能の携帯で
写真だって送れるし
パソコンがあれば
動画だって
リアルタイムで見られる

あのころは
便利な時代じゃなかったけれど
そのかわり指先が
今でもあの人の声に繋がる番号を
律儀に覚えてる

好きだったことが
過去になって
新しい季節が来ても
指がたどった番号は
たとえ もう今は
空にしか通じることがなくても
同じ順をたどる

「離れない」

昔 赤い受話器の向こうで
そう約束した人は
空に旅立ったと
人づてに聞いた

主のいない番号は
指の記憶の中
そっと眠った

空の向こう
そちらには
まだあの赤い公衆電話
まだ あるのかな

そしてあの人の指にも
私の声に繋がる
指の記憶は
残っているのかな

いつか
空の上でばったり出会ったら
指の記憶
見せて下さい

2009.11.20


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奏(かなで)

奏(かなで)

君は君の場所で
私は私の場所で
ピアノでるように

遠く離れた君と私が
画面の向こうとこちらで
想いを伝えあう

今日あったことや
食べたものの話
見たもののこととか
考えたこと

笑いあったり 少し困ったり
時に怒ったり

会えない切なさ
遠い距離
タイプされたたくさんの文字を集めて
少しでも距離を埋めるように

離れていても
いつだって心はそばにいて
抱き締めあっていると言うのに
体は遠くはなれて
ふたつのままだ

いつか
同じひとつのピアノの前に
ふたりで向かって

笑ったり 難しい顔をしたりしながら
同じ時間のなかで
一つの曲をつなげてゆく
生きてゆく時間の連弾

ときには歓びではねるように
ときには激しく鍵(キィ)を叩いて
いろんな音色を響かせながら
ゆっくりと確かめあうように

いつか
同じひとつの曲をでてゆく
そんな時が過ごせればいいと

今は距離を隔てた
ディスプレイの前
それぞれの場所で
それぞれの曲をでる

遠く離れた
それぞれの
空の下で

2008.06.25


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雨  ─君の夢を見よう─

 雨  ─君の夢を見よう─

ねぇ

が降ってきたよ

ほんの今まで
君の声しか
この世界にはなかったのに

ねぇ

まるで映画のシーンが
一瞬で替わるように

今まで君の声を届けていた
真っ白の携帯
「ぱくり」と音を立てて
半分にたたむと
部屋中を包む
柔かなホワイトノイズ

君の不在が作り出す
はてしない虚広がる
心の隙間に
やわらかなの音が
注ぐように流れ込んで

君の声が途切れた夜
音 部屋の中にみちて
鈍(にび)色の雲
ピアノブルーの夜が覆う

瞳を閉じて
長いため息ひとつ
君の名前で縁取りをして
窓をつたう雫
涙のかわりにそっと仕舞いこむ

君からの着信を知らせる
ブルーのランプに
恋焦がれながら
音で心を包んで

今宵は
私の上に広がる
抱きしめられるがないから

一人しずかに
そっとうつぶせて
君の夢を見よう

2008.05.20


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さよならに会うために

さよならに会うために

さよならに会うために
一人で空を飛ぶ

たどり着いた大きな街の
なにもない小さな部屋で
私は
さよならに会った

さよなら
「君が幸せになるように」
そう言って
小さな植物を
私の耳に置いた

私はお返しに
横たわったさよならの上で
雪の上を月の光が転がる音を
一晩中鳴らし続けた

北の国から来たさよなら
雪雲を連れていて
私の心と
大きな街の空に
白い 白い
雪を降らせて見せる

はじめて見る
心の空の雪雲
身を切るような風と
広がる 白い吐息

そしてその白い世界のなかに
ちいさな緑色の植物

ほんの一瞬だけ
白く世界を覆って
さよならは
元の世界に戻っていった

さよならはさよならも言わず
私の頭を無造作に撫で
また会えると言ったけど

さよならはやはりさよならで
帰る元の場所がある

さよならの雪が溶けて
暖かな春が来ても
さよならの雪は忘れないし
植物もここで生きる

さよなら さよなら
さよならに会えてよかった

言葉では言わなかったけど

会えなくなることは
風が知ってた

さよならに瞳を閉じて
雪が溶けたら
また ひとり
空を見上げよう

さよなら
さよなら

ありがとう
さよなら

2008.02.12


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ジャンル : 学問・文化・芸術

ゆら ゆら

ゆら ゆら

あたたかい湯船のなか
ゆら ゆら
ゆれるのはたゆとう波紋と
あたたかい湯気

バスルームを満たす
水蒸気の
小さな水の粒子がゆらいで
硬く縮こまった心を
そっとほぐして
すこしだけ 自由になる

ひとつためいき
少し 疲れちゃった
自分の肩を自分で抱き締めながら

もう一つため息
強がってばかり
やっぱり素直じゃないよね

だけど
少しくらい強がってないと
一人で立っていられなくなってしまう
だからいつも
何事もないように
君の前では笑顔でいられるように
空を見上げるのと同じ角度で
君を見上げていよう

いい香りのシャンプー
心を飛ばして遊ばせてみるけれど
この香り ゆら ゆら
伝えたい人は遠く

いまは ひとり

心はそばにいるけれど
いまは まだ ひとり

2007.12.05


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眠れない あのひとに

眠れない あのひとに

               眠れない あのひとに
               そっと 子守唄を歌おう

               波の音
               雨の音
               木々の揺れる音
               アルトの声


               眠れない あのひとに
               そっと 子守唄を歌おう

               星のささやき
               オルゴール
               妖精の羽音
               風のうた


               眠れない あのひとに
               そっと 子守唄を歌おう

               あしたも 
               あなたにとって
               心の中に
               きらめく贈り物がありますように

               遠い空の下で
               なんども
               なんども
               くりかえし歌おう

               私の声を
               風がはこび
               夜露とともに
               あなたを包むように


2006.09.16


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テーマ : 詩・想
ジャンル : 小説・文学

プロフィール

藍音ななを

Author:藍音ななを
詩作の長いブランクを経て2006/9から書き続けています。
空と雨を何よりも愛しています。

血液の82%はコーヒーでできています。
きっと できています。

写真撮影は注釈がないものについてはすべて
撮影者:藍音ななを
撮影機:au Win W41K(携帯by京セラ)
2008/2からau Win W61CA・softbank 940SH
を通して私の目が見た世界です。

著作権は放棄していません。
無断転載/無断引用/複製は固く禁じます。

●●このブログはリンクフリーです●●
綴った詩がお気に召しましたらお気軽にリンクをお持ち帰りください。その際お知らせくだされば相互リンクも貼らせていただきます。コメントもお気軽にどうぞ。

*アダルトとスパムサイト様はご遠慮させていただきます。


ネット詩誌 MYDEAR所属
福岡県詩人会所属

2013.6.9 藍音ななを
動画:夢路

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