いるよ

クリスマスが今年もやってくる
子供が小さい頃
十一月頃になると毎年
サンタさんへの手紙を書かせたものだ
玩具
本
ゲーム機
CD
アニメのキャラクターグッズ
化粧品
子供の年齢が上がるに従って
年々欲しがる物も変わっていく
要求してくる物の移り変わりも
子供の成長が見えて
それも楽しみの一つだった
サンタさんへの手紙は
中学卒業の年まで続いていた
姉やは十五で嫁に行き
お里の便りも絶え果てた
昔の歌でもそんな歌詞があるでしょ
高校生はもう大人だから今年までしか来ませんよ
サンタさんは子供の所にしか来ないから
私のそんな説明に
あぁ なるほどね
まぁ
子供の権利は次の小さい子供に譲れってことね
そんなこまっしゃくれたことを言い
我が家のサンタさんへの手紙行事は
中学生であっさり終了した
よくありがちな話で
子供の友達から
サンタさんはお父さんだった
そんな話を聞いてきて
サンタさんはいるのかいないのか
それはそれは真剣な
泣き出しそうな顔で
問い詰められたことがある
あぁ それね
サンタさんは魔法をかけて入ってくるんだよ
子供が目が覚めちゃったとき
その子が一番大事な人に見える魔法ね
だからその子にはサンタさんが
お父さんに見えたんだよ
君の友達は
お父さんが一番大事なんだね
そう言うと
表情がぱぁぁっと明るくなり
そうなんだ
そうだよね
サンタさんって凄いんだね
サンタさんちゃんといるじゃん
確信の笑顔でそう言ったものだ
私はこの子が生まれたとき
中学生頃まで
サンタを信じる程に
素直で馬鹿な子でいてくれたらいいな
そう思っていた
とは言え
現実を知らないお花畑な子供でいるのは
危険なことではある
現実を知ることは大事なことだ
ただ
物質的な形や
現物しか信じられない心で
育ってほしくなかった
私は
サンタクロースはいると考えている
それは現実に生きている
物質の人間ではなく
誰かに対する愛情や
誰かを大切に思う
心の形そのものだと思っている
親の愛情や
恋人が相手を思う愛情は
物質ではないし
目には見えないものだ
実際に触れられる
物質という形では
見ることはできない
だからと言って
目には見えないから
ないわけではない
そこに愛情は確かにある
目に見えない物は信じられない
そんな物質主義で
現実的な子供に
なってほしくなかったのだ
見えないけれど
周囲からの愛情は
たくさんたくさん
君に注がれていたんだよ
この子が誰かのサンタさんになる頃
懐かしい笑い話として
こんな後日談を話してみよう
そして今はまだ
種明かしはせずに置いておこう
もっとも
子供のほうが一枚上手で
またこんなこと言ってるよ
仕方がないなぁ
付き合ってやるか
心の中でそう思っている可能性も
無きにしもあらずだけれど
それはそれで
子供から私への愛情なのだろう
今年のクリスマスは
学校の友達と過ごすらしい
それもまた親離れの一歩として
成長を嬉しく思いながら
今年もクリスマスはやってくる
たくさんの人に
愛情が降り注ぐ日でありますように
サンタさんは
愛情と一緒に
みんなの心の中にいるよ
メリー・クリスマス
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